リージョン
Photon Cloudを利用すれば、世界中で低レイテンシーのゲームを実行するためのグローバルな接続が可能になります。
クライアントはまずネームサーバーに接続し、ネームサーバーは利用可能なリージョンのリストを提供します。 通常は「ベストリージョン」の選択が有効化されており、最低pingのリージョンが検知されてクライアントはこのリージョンに接続します(下図を参照してください)。
各リージョンは他のリージョンから完全に分離しており、リージョンはマスターサーバー(マッチメイキング用)とゲームサーバー(ルームのホスティング)から成ります。
以下は、利用可能なリージョンの完全なリストです。 クライアントが利用できるリージョンはダッシュボードで定義できます。
目次
ベストリージョンの選択
PUNとPhoton Voiceは、ベストリージョンを選択する際にRealtime APIレイヤーに依存しています。
C# Realtime API
Photon Realtimeは接続すべきベストリージョンを検知でき、プレイヤーがそのリージョンへの接続を保持できるようにします。
これを実現するため、クライアントは接続時に接続可能なリージョンのリストをネームサーバーから常に取得します。 このリストは、最新のリージョンリストを取得するため、また保存されたベストリージョン(該当する場合)がまだ利用可能であるか確認するために使用されます。
サーバーへのping送信後、結果は後で使用できるよう文字列に要約され、デバイス上に保存されます。 要約された文字列には、最新のベストリージョン、ping、最新のリージョンリストが含まれます。
以前のセッションの結果がなければ、すべてのリージョンがpingされますが、所用時間が長くなります。 以前の結果が利用可能な場合、クライアントは以下を確認します:
a. リージョンリストが変更された場合(「以前のベストリージョン」がまだ利用可能な場合に対応)
b. pingが受け入れられなくなった場合(以前に保存された参照値よりも1.5倍以上遅い)
どちらかが当てはまる場合、すべてのリージョンがpingされ、新しい結果が選択されます。
ベストリージョンを使用すると、ダッシュボード内のサーバー側のリージョンフィルタと連携します。 この機能によって、プレイヤーが利用可能なリージョンがオンデマンドで更新されます。
リージョンのリストにアクセスする場合、または前回の結果を上書きする場合には、リージョンのAPIリファレンスを参照してください。
PUN
PhotonNetwork.ConnectUsingSettings()
を使用すると、デフォルトでベストリージョンの選択が行われます。
プレイヤーの設定に結果を自動的に保存することを除けば、ワークフローはRealtime APIと同じです。
クライアントは通常、1つのリージョンをより長い時間使用します。 その後の起動時に、この領域に再びpingを実行します。 PUNは、UnityのPlayerPrefsを使用して、 ベストリージョンの概要を自動的に保存します。
利便性とデバッグの目的で、現在のベストリージョンとそのpingはUnityエディターのPhotonServerSettingsで公開されます。 ただし、Unity Editorのプレイモードでのみ有効です。 Unity Editorと同じマシンで実行されるビルドには、異なるベストリージョンが含まれる場合があります。
ベストリージョンの検討
「ベストリージョン」オプションは、決定的なものではありません。 リージョンにあまり差がない場合や、まったく同じping計算がされた場合には、「ランダム」になる可能性があります。
理論上は以下の設定が可能です: - 同一デバイスから、複数リージョンに対してまったく同じpingを設定します。同じネットワークに接続したクライアント上で異なるリージョンに接続する場合には、ランダムになります。 - 同じネットワークに接続した異なるデバイス上(または同じデバイス上で異なる試行を実行する)で、同じリージョンに対して異なるping値を設定します。
たとえば、「us」と「usw」(または「ru」と「rue」)の場合、オンラインリージョンのホワイトリストを使用してリージョンを選択するか、または明示的にリージョンに接続します。
開発リージョン
これは、PhotonServerSettingsで利用できる新しい設定です。 この設定では、すべての開発ビルドが同じリージョンを使用し、「ベストリージョン」を選択する際の初期のマッチメイキングの問題が回避されます。 「開発ビルド」はPhotonServerSettingsが作成されると自動的に有効化され、「開発リージョン」はUnityエディターでの初回実行時(PlayMode)に設定されます。
「開発リージョン」は、PhotonNetwork.ConnectUsingSettings()
を使用して接続した際にUnityエディターおよび「開発」ビルドでのみ使用されます。
単純に値を削除すれば、Unityエディター内の「開発リージョン」や「開発ビルド」を無効化できます。
このため、開発段階でベストリージョン選択の問題を回避するには、最新のPUN 2バージョンにアップデート済みであるか確認してください。
Unityエディターでは1回実行してください(PlayModeと入力し、接続)。
任意のデモシーンから実行可能です。
このUnityエディターからの初回接続によって、PhotonServerSettingsインスペクターから参照できる「開発リージョン」が設定されます。
1回実行すればデバイスからビルドおよびテストが可能になります。また、すでに実行済みならば、新しいビルドを実行できます。
ビルド設定から「開発ビルド」が有効化されたことがわかるでしょう。開発期間の間、この設定のままとなります。
こうして、すべてのクライアント(Unityエディターおよびビルド)が同じ「開発リージョン」に接続します。
本番への移行前に、開発ビルドを無効化するのを忘れないでください。
注: 1つのクライアントが開発ビルドまたはUnityエディターから接続し、その他のクライアントが非開発ビルドから接続している場合、それらのクライアントは2つの異なるリージョンに接続する可能性があります。
利用可能なリージョン
Photon Cloudは、複数のリージョンにサーバを設置しています。これらは世界各地のホスティングセンターに設置されています。
各Photon Cloudリージョンは「リージョントークン」で識別されます。
特定のリージョンに接続するには、AppSettings内のPhotonServerSettingsでコードを「Fixed Region」に設定します。
PhotonNetwork.ConnectToRegion
を使用するには、この場合にはPhotonServerSettingsが使用されないようネットワーキングクライアントを手動で設定する(おもにAppIdとAppVersion)必要があります。
リージョン | ホスティングされている場所 | トークン |
---|---|---|
アジア | シンガポール | asia |
オーストラリア | メルボルン | au |
カナダ(東) | モントリオール | cae |
中国本土1 (手順を参照してください) | 上海 | cn |
ヨーロッパ | アムステルダム | eu |
インド | チェンナイ | in |
日本 | 東京 | jp |
ロシア | モスクワ | ru |
ロシア(東) | ハバロフスク | rue |
南アフリカ | ヨハネスブルグ | za |
南米 | サンパウロ | sa |
韓国 | ソウル | kr |
アメリカ(東) | ワシントンD.C. | us |
アメリカ(西) | サンノゼ | usw |
1: 中国本土では、個別のAppIdと購読が必要です。
ダッシュボードでのリージョンのフィルタリング
アプリケーションごとに利用可能なPhoton Cloudのリージョンのリストを、ダッシュボードからすぐにフィルタリングできます。
ダッシュボードを開き、該当のアプリケーションの「管理」をクリックしてから、「編集」をクリックします。 ホワイトリストに登録されたリージョンのリストを入力できる、入力フィールドが以下のように表示されます。
- セミコロンで区切られたリージョントークン(例:「eu;us」)の文字列のみが、リストとして許可されます。
- リージョントークンは大文字・小文字が区別され、こちらで定義されます。
- 定義されていない、または認識されていないリージョントークンはリストから無視されます。
- 空 (「」) または不正な形式の文字列(例 「;;;」)は空のリストを意味します。
- 空のリストとは、利用可能なすべてのリージョンが許可されていることを意味します。
確認して保存すると、それ以降はオペレーション GetRegions
はフィルタリングされたリージョンのリストのみを返します。
このため、クライアントはそのリストから選択する必要があります。ただし、クライアントは利用可能なリージョンに明示的に接続することも可能です。
ダッシュボードの更新が反映されるには、最大で10分間かかる点を考慮してください。
中国本土のリージョンを使用
ファイアウォールによってトラフィックがブロックされる可能性があるため、中国ローカルのPhotonネームサーバーを使用する必要があります。 中国のPhotonネームサーバーは「ns.photonengine.cn」 です。
中国本土外からクライアントに接続しても、良い結果は得られません。 また、Photonサーバーから中国本土外のサーバーへの接続(たとえば、カスタム認証、Webhook、WebRPCなどで)は信頼性が高くありません。
また、法的な理由から中国向けには個別のビルドが必要となります。弊社は各ビルドに個別のAppIDを使用することを推奨しています。 たとえば、ビルドごとに(任意の)コンパイル条件を使用してAppIDやPhotonネームサーバーを変更します。
中国マーケット用に特別なビルドを作成するには、お使いのクライアントSDKの手順を参照してください。
void ConnectToChina()
{
// you could also set these values directly in the PhotonServerSettings from Unity Editor
PhotonNetwork.PhotonServerSettings.AppSettings.FixedRegion = "cn";
PhotonNetwork.PhotonServerSettings.AppSettings.UseNameServer = true;
PhotonNetwork.PhotonServerSettings.AppSettings.AppIdRealtime = "ChinaPUNAppId"; // TODO: replace with your own AppId
PhotonNetwork.PhotonServerSettings.AppSettings.AppVersion = "ChinaAppVersion"; // optional
PhotonNetwork.PhotonServerSettings.AppSettings.Server = "ns.photonengine.cn";
PhotonNetwork.ConnectUsingSettings();
}